2013年9月16日月曜日

共同利用を前提とした設計変更と金銭出納帳の改良

自作のファイルメーカーデータベースは,
今までは単独利用を前提とした設計でした。

この度,事務所内での利用者が増えるということと,
せっかくデータベースソフトを利用するのだから
利益相反チェックも出来るようにしたいという要望を受けて,
複数人の弁護士が一つのデータベースを利用する形態を
前提とした設計に変更しました。

そうはいってもなるべく使う上での面倒はふやしたくない,
ということで,起動時に利用する弁護士名を選択するようにして,
以後は基本的に単独で利用しているときと
操作上は変わらないようにしました。













起動すると上の画面が表示されるようになったのが変更点です。
弁護士を最初に選択するという一手間は増えましたが,
その後は選択した担当弁護士で自動的に絞込が行われるので,
一人で使っている時と使用感はほぼ変わりません。

担当弁護士を変更する小窓は事件一覧などの画面上にも
表示されているので,起動後に変更したくなった時も
名前の横の▼をクリックして違う名前を選択すれば,
違う弁護士で絞り込みが再度されます。


その他の変更点としては,
リクエストにより,金銭出納帳の表示形式等を変更しました。
具体的には,入出金の差を入出金のある都度表示する形式にしました。


























金銭出納帳関係でもう一つ。
後見事件等だと複数回にわたって
出納帳の収支を報告する必要があります。
従来のような今日現在の収支しかわからない形式しかないと,
前回の報告がどこまでで,今回はここからですよということを
別途書きこむなどする必要がありました。
そこで,後見事務経過一覧表を作成する際の期間に絞って
金銭出納帳を出力できるようにしました。
後見のタブの,事務経過一覧表を作成する画面に
新たに「対応する期間の金銭出納帳」というボタンができています。
これを押すと,事務経過一覧表を作成するために設定した
始期と終期の間に含まれる金銭出納帳の入出金だけが表として表示されます。
後見の報告の際に別途期間を考慮する必要なく,当該報告に関係する入出金だけが表となって現れるので,それを印刷すればいいということになります。














その他「今後の改良をしやすくするための改良」といった,
表面に現れない改良もされています。
例えば,Word形式で出力できる書面の追加が
しやすくなりました。
その関係で,仮差押命令申立書と陳述催告申立書も
作成できる書面のラインナップに加わっています。






2013年8月31日土曜日

細かな改善

 自作のファイルメーカー事件管理データベースで,
細かな改善を幾つか。

1.印鑑画像の登録欄の作成

 ファクシミリ送信書などの印鑑について,印鑑の画像さえ用意してもらえれば,それを書面に反映できるようになりました。
(ファイルメーカー上で直接文書を表示するものについてのみ。Wordで出力する方はまだです。→後日Wordの方も出来るようになりました。)

 利用者登録の画面の一番最後に,印鑑という欄を新設。
 ここに印鑑の画像をドラッグアンドドロップします。







 
 これで当該弁護士用に印鑑が登録されます。
 あとは事件ごとに担当弁護士を選択できるので,その選択された担当弁護士の印鑑が書面に反映されます。


2.訴状,答弁書の住所欄で,政令指定都市の場合都道府県を省略

 ファイルメーカーからWordで訴状,答弁書を出力する際に,
慣例に従って,政令指定都市の場合最初から都道府県を省略して
住所を表示します。
 (政令指定都市といっても,当面神奈川,千葉,埼玉のものだけですが。)


3.担当弁護士,担当事務員等のデフォルトの表示を環境に応じて変わるように設定した

 今まではデフォルトのデータ(最初から入力されるデータ)が,私と私の事務員が前提となっていました。
 利用者登録のところには,「橋本」なんて入っていないのに,担当弁護士に「橋本」とまず入力されるなんてことが起こっていたわけです。
 それを毎度毎度修正するのは手間ですから,最初からちゃんと利用者登録に入力されたデータから入力されるように変更しました。

 
 ちなみに今後の予定ですが,現在やりたいのは,破産の必要書類一覧をファイルメーカー上で管理して,依頼者ごとの進捗を事件一覧の画面でひと目で把握できるようにするということです。

利益相反チェック機能

 ファイルメーカーで自作している事件管理データベースの眼目は,
まずは事務処理軽減というところにあります。

 しかし,この度,要望を受けて利益相反チェックのための機能も持たせるべく,
その方向で一歩前進しました。

 普段のメインとなる「事件一覧」の画面の上部に,
「利益相反チェック」というボタンが新たに設置されています。



 それを押すと,人物名で検索ができる画面に移動します。







 

 終了した事件を含めた,依頼者,相手方,債権者を対象として
検索が出来るようになっています。
 上部の検索ボックスの「姓」の欄と「名」の欄にを両方キーワードを入れると,AND検索になって,全ての条件が完全に合致するものが表示されます。
 「姓」の欄にだけ入れると,そこに入れた言葉が依頼者,相手方,債権者の姓とか名とかどこかに該当すると表示されます。

 ちなみに複数相手方と複数依頼者については,画面上は一人分しか表示されていないですが,実際には二人以上いることもあるわけで,その場合にも検索には引っかかります。
 検索に引っかかるとその文字が赤く表示されるようになってますが,どこも赤くなっていないのに検索に引っかかっている場合には,その表示されていない部分で検索に引っかかっているということになります。

 表記のゆれのせい(あるいは入力間違いなど)で検索にひっかからないおそれがあることを考えると,姓と名と両方入れてみて該当がない場合も,万全を期すなら一応姓だけで検索したりするのがいいかもしれません。

2013年8月25日日曜日

折返しが必要な電話メモのみ目立つように表示

自作のファイルメーカーデータベースについて,
業務メモ機能の若干の修正。

今まで業務メモ中の電話メモには,
「受信」or「発信」の区別しかありませんでした。
そこに新たに「要折返し」という分類を作成。

使い方としては,
相手方から弁護士の不在中に連絡があって
折返しを求められた場合などには,
「要折返し」にチェックを入れておきます。

そうすると業務メモの本文部分が目立つように
赤く表示されるようになります。

そして,それだけではなくて,
業務メモ一覧画面に
「要折返しのみ表示」というボタンを追加しました。
これを押すと,「要折返し」のところにチェックが入っている
メモのみが画面に表示されます。



要折返しの電話がない場合には,その旨のメッセージが
表示されて,自動的に全部が表示される状態に戻ります。

2013年7月28日日曜日

ファイルメーカーによる破産申立書作成のフロー。

 FileMakerによる自作の事件管理データベースから
Excelファイルを出力できるようになったことによって、
破産申立書作成のフローは以下のようになりました。

 まず受任時に依頼者の情報のほかに
債権者の情報を入力する必要がありますが、
よく使う債権者についてはリストに登録しておけるため、
リストから呼び出すだけで入力が終わります。




 上記のリストの中の「今回使う」ボタンを押すと,
ファイルメーカーの「債務整理状況表」タブにその債権者の名前が
入り,住所等もセットされた状態になります。



















 そのセットされた名前、郵便番号、住所等を使って、
受任通知を郵送することができます。
 受任通知の文面自体は,「破産受任通知(金融機関用)」等の
ボタンから印刷できます。
 郵送の際の封筒のラベルも「債権者ラベル印刷」ボタンで
ラベル印刷用の表が表示されるので,一気に印刷。



















 履歴が開示されて、計算が終わったらその金額をファイルメーカーに入力。
 破産申立書の債権者一覧表に必要な情報として、
借入開始日、最終借入日、最終返済日も債務整理状況表の右側の欄に入力。
 (この時点で、借入開始日の古いものが上になるように
自動的に並び替えがされます。)
 なお、過払いが生じていた場合の請求FAXや支払いの和解書も
ボタン一発で印刷。
















 

(上の画面では,一つの債権者だけ借入開始日,最終借入日及び最終返済日が入力された状態となっています。)
 すべての債権者についての情報が確定した段階で、
「破産申立書作成」ボタンを押します。
そうすると、スクリプト(ファイルメーカーで使える簡単なプログラムのようなもの)が動作して,
破産を申し立てる方の名前、ふりがな、生年月日、住所等の
情報及び債権者の住所,債権額等の情報が入力された状態の
エクセルファイルがデスクトップに作成され,自動的に開かれます。
(なお,厳密に言うと通常のエクセルファイルとはファイル形式が異なるので,
念のため「名前をつけて保存」を行なって,ファイルの形式を「.xls」ないし「.xlsx」に変更しておくことをおすすめします。)






















 上記のエクセルファイルには,債権者一覧表も入力済みです。
(厳密に言えば,直接は「債権者一覧表ラベル用」というシートに入力されて,
それが関数によって債権者一覧表に表示されるということになります。)







 その他の項目については,基本的に従来使用していた
エクセルファイルそのままですから,
その先は従来通り進めていくことができます。

 なお,申立ての際のラベル印刷も入力済みのエクセルファイルから
行うことができますから,大手の業者に対してしか
債務のない人の場合であれば,受任から申立てまで,
一度も住所の入力をする必要がない,
ということになります。

 機械に任せられるところは機械に任せた方が,
正確で,かつ,時間と労力を省くことができます。
 そのような,「機械に任せられるところ」がまた一歩広がりました。

 この先の構想としては,文書の作成だけではなくて,
いつ何をすべきかということについてもある程度機械が
教えてくれるような状態を実現したいと思っています。
 具体的には,いくつかのフローチャートに答えると
必要書類がリストアップされ,その書類を取得したら取得日を入力する。
 そうするとその書類の有効期限等が自動的に入力されて,
各書類の有効期限が切れそうになると,
事前にファイルメーカーが教えてくれる,というような状態を
実現したいと思っております。




2013年7月15日月曜日

ファイルメーカーによる訴状等作成支援機能

 事件管理データベースに情報が溜まってくると,
同じ情報を二度入力したり,コピペしたりということが
とても手間に感じられてきます。

 そうなってくると,書面作成についてもなんとか
ファイルメーカーでできないかという欲が出てきます。

 ファイルメーカー上でもA4で1枚程度の簡単な文書については,
作成して印刷できるようにはしていましたが,
インデントの微調整や,複数ページに渡った場合のページ番号の問題など諸々の問題があって,長文の作成にはやはり限界がありました。

 なんとかWordにデータを渡して連携を図るしかない,
と思っていたのですが,この度,試行錯誤が実を結び,
直接Wordファイルとして書面のデータを出力できるようになりました。


 詳細は以下のとおりです。

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 まず訴状作成画面の左下にある「訴状ひな形呼び出し」ボタンを
押すと,典型的な訴状の骨子を呼び出す画面が出てきます。


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 使いたいひな形の請求の趣旨,請求の原因それぞれについて,
「訴状に貼り付け」というボタンを押すと,
訴状作成画面の請求の趣旨,請求の原因欄に
データが貼り付けられます。

 この訴状のひな形データは使えそうなものが新たに生じる都度,
追加していくこともできます。
 また訴状の類型ごとに絞り込んで表示することもできます。
 このようなひな形を利用することで要件事実の漏れや勘違い
などの初歩的なミスを防ぐことが期待出来ます。

 元の訴状作成画面の右上には,訴額を入力する欄があります。
 訴額を入力すると,700万円までは印紙代が自動的に入力されます。





 ある程度必要な情報が入力できたら,
「訴状レイアウト」というボタンを押します。



 そうすると
「作成日付(例えば今日なら「20130715」)+依頼者名+訴状.doc」という名前でデスクトップにファイルが作成され,自動的に開きます。
 作成されたWordファイルは,住所,氏名,管轄裁判所等,
データベースに入力済みのデータは自動的に転記されている
状態となっています。
 相手方が個人か法人かに応じて,自動的に入力される情報は変化するようになっています。

 ひな形から入力した請求の趣旨,請求の原因等ももちろん入力された状態となっています。
 もっとも,請求原因のインデント等については,整える必要がありますから,そこから先はWordの方で細かい調整をしていきます。

 以上の通り,Wordファイルとして出力できるようになったことで,
より意図したとおりの文書作成に近づきました。
 とりあえず現時点で出来ているのは,訴状作成機能と送付書兼受領書作成機能だけですが,他の書面でも原理は同じなので,準備書面や各種申立書等も時間の問題です。

 (2014年12月7日追記。その後ファイル名の変更により,上記のひな形からの請求の趣旨及び請求の原因のコピーが機能しなくなっていました。現在再度修正して使えるようになっています。)

2013年6月29日土曜日

成年後見人関係書類の作成補助

成年後見人等の業務を行っていると,
定期的に家庭裁判所に報告をすることになります。
この際提出する書面には,
後見事務経過一覧表,後見事務報告書など
というものがあります。


このように定期的に作成するもので,
ある程度定型化可能なものというのは,
まさにデータベースが役に立つ場面です。

後見事務経過一覧表というのは,
この間後見人等としてどんなことをやってきたかを
細かく報告する書面です。
これは個々の出来事を記載していくものなので,
報告の時に遡って作成するということになると大変です。
一方で,その都度作成していくにしても,
日常的な覚書と別に経過報告書に別途記載するというのも
手間が多い。

そういうわけで,自作の事件管理データベースでは,
普段の業務メモを記載する中で後見事務経過報告書の記載事項も
作れるようにということを目標としています。

その目標を実現するために,
業務メモの種類の欄に新たに「後見」というものを作りました。






業務メモの種類で,「後見」と選択されているものについては,
後で後見事務経過一覧表を作成する際に
まとめて呼び出すことが出来るようになっています。


事件詳細の後見関係のタブで,
「事務経過一覧表」のところで作成日を選択入力して,
「作成」のボタンを押します。

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そうすると事務経過一覧表作成画面に移動します。
その画面で,報告書の始期と終期を選択入力し
(始期を入力すると,自動的に
終期の欄にはその1年後の日付が入力されるので,
必要であれば変更します。),
「業務メモから抽出」というボタンを押すと,
業務メモで「後見」と選択されているもののうち,
当該後見事務経過一覧表の報告期間に含まれるメモだけが
後見事務経過報告書の画面に表示されます。
(レコード的には同じものを表示。)

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「印刷レイアウト確認」ボタンで
実際の印刷画面がどのようになるかを確認すると,
こんな感じ。

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後見事務報告書作成画面はこんな感じ↓
デフォルトで「変化がない」旨の報告事項が入力されているので,
変化があった項目についてはその旨を入力します。

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同じく印刷画面を確認して,印刷

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報酬付与の申立書等も同様に作成します。

ちなみに,報酬付与申立書作成の画面には
「翌年の申立をやるべきことにセット」というボタンがあって,
一年後の日付でまた報告書を作成することが
「やるべきこと」にセットされるようになっています。

(印刷画面の例は,今回用にサンプルとして作っています。)

2013年6月15日土曜日

弁護士費用分割払いの合意書作成

 弁護士費用は着手金と成功報酬に分かれるのが一般的ですが,
事件の種類によっては着手金の分割払いが可能な場合があります。

 そのようなとき,いつ,いくらの支払いを受けることになるのか
いちいち考えて書面に書き出すのは面倒です。

 ファイルメーカーでの事件管理データベースでは,
このような場合,自動的に計算して,ボタン一つで
書面化することができます。


1.「着手金総額」欄に着手金の総額を入力(例えば「126000」)
2.「着手金分割回数」欄に分割回数を入力(例えば「4」)
3.「着手金初回支払い予定日」欄で初回の支払い予定日を選択
 (例えば「2013/6/28」を選ぶ)
4.「分割払い自動計算」ボタンを押す


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 そうすると,画面の右側に表示されている
「支払い予定日」,「支払予定金額」欄に,自動的に,
4回に分割した金額を,初回支払い予定日から1か月ずつ
間隔を空けて支払う,という内容で入力されます。



 その上で,「分割報酬合意書作成」ボタンを押すと,


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 分割支払の内容が報酬合意書に入力された状態で出てきます。

 後は画面左上にある「印刷する」のボタンを押して印刷するだけです。


 実際の進捗管理としては,支払いがある都度,
最初の画面の自動計算された支払予定の横にある
「支払金額」「支払日」欄に,
実際に支払いのあった金額,支払日を入力していきます。

 そうすると「既払い額合計」欄に,支払いのあった額が加算され,
「未払い額」欄の金額が減っていくことになります。

 この「未払い額」は,「未収金一覧」画面で全事件分が
横断して表示されますので,未収金の管理も容易に行うことができます。

2013年6月9日日曜日

自家製データベースにおける住所の入力について

 依頼者,相手方などの情報を入力する際に,
「郵便番号を入力すると途中までの住所が自動的に入る」
という機能は最初の段階から付けていました。
 これは特段難しくないですし。

 しかし,実際に業務の中で使ってみて思うのは,
「住所は分かるが郵便番号が分からない」
という場面がけっこう多いということです。

 こうしたとき,
「いちいちネットで郵便番号を検索したりするのは面倒だな。
住所から郵便番号を自動的に認識させたい。」
と常々思っていました。

 もっとも,
「入力した住所から郵便番号を自動的に認識する」というのは,
データベースの設計的には,わりと障害があります。
 「2丁目4番地6」としたり,「2−4−6」としたりという,
表記のゆれをどうするかということだけでもなかなかな難問です。
 
 どうしようかいろいろ考えましたが,最終的には,
住所の候補を選択肢の形であらかじめ表示して,
その中から選択させる形にしてみました。
 自家製事件管理データベースは,
「パソコンに詳しくない人でも使える」ということを
目指しているので,少々の効率を犠牲にしても
わかりやすさを優先です。

 具体的には,
「郵便番号が分からない場合は,こちらから!」
とやたらとアピールしてくるボタンがあるので,
それを押します。

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 そうすると別ウィンドウが開くので,都道府県を選択します。

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 都道府県リストから選択。

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 都道府県のところで,東京都を選択すると,
次の市区町村は,東京のものだけが絞りこまれて表示されます。

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 さらに市区町村で世田谷区を選択すると「その他の住所1」は
世田谷区のものだけが絞りこまれて表示されます。
 そして,「その他の住所1」まで入力すると,
郵便番号を特定することが出来ますので,
もとのウィンドウの住所入力欄に郵便番号が入力されます。

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 これで,最初から郵便番号が分かっている場合には,
それを入れて住所を自動入力。
 郵便番号が分かっていない場合には,住所を入力しつつ,
番号を特定という動作を実現することが出来ました。

機能説明(業務メモ)

自家製事件管理データベースは,
一部他の人にも提供して試用していただいているので,
説明書替わりに書いておきます。


業務メモ
 電話連絡や進捗のメモ等を入力する欄です。
 事件の進行についての自分のための備忘録,事務員との情報共有,事件・顧客情報の一元管理などといった意味があります。


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 アナログな「電話連絡帳」での処理時のような,後から
確認したくなった際に探すのが大変という不便を避けられるように,
またExcelでの処理時のような,一人が編集していると
まるごとそのファイル全体を開くことができないという不便を
避けられるように,というのが業務メモの目指すところです。

 当該事件の流れは事件別の業務メモのタブさえ見れば,
時系列で確認することができます。
 依頼者や相手方から電話がかかってきたときにも,
いろんな記録を引っ張り出してくるまでもなく,
基本的にはここさえ見ればいいわけです。



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 また「業務メモ一覧」の画面では全事件を横断して,
最新のものが上に来るように表示されます。
 離席を終えて戻ってきた時などは,まずここを見れば,
自分が不在の間にどのような出来事があったか
一目で把握することが出来ます。

 その他,業務メモは,入力日時,修正日時が
自動的に入力されるようになっています。
 このことにより,相手方に連絡をした,しないなどということ
についても,「たしか電話したと思ったんだけど」というような
あいまいなことはなく,
「何日の何時ころにこちらから電話している」ということが
はっきりと分かります。
 このような記録は,余計な紛争の予防にも役立ちます。

 以上のようなシステムがシステムとして本来の機能を
発揮するためには,
「情報が少なくとも最終的には業務メモに集まってくる」
という状態を実現することが必要です。
 そうすると,
「いかに入力の手間を減らすか」
ということが重要になってきます。
 入力が大変というのでは,自然と入力しなくなってしまいますので。

 入力を減らすための機能は別途ご説明します。


  

2013年6月8日土曜日

読書感想文 オタクの息子に悩んでます

レコーディングダイエットで知られる岡田斗司夫の本。
新聞紙上で行っていた人生相談のやりとりと,
その回答を書き上げるまでに著者がどんなことを考え,
工夫したのかというプロセスの部分が主な内容です。

タイトルでかなり損をしているような気がしますが,
面白かったです。
法律相談と人生相談はもちろん同じものではありませんが,
共通する部分も多分にあるでしょうし,参考になりました。

「共感」について触れている部分をご紹介。

「共感のコツは『相談者と同じ温度の風呂に入る』ことにあります。
恋愛で悩んでいるとか、借金のことで困っているとか、
いろんな悩みがありますよね。
その時に、
ついつい僕たちはその相談者と同じ温度の風呂に入らないんです。
その人が熱くて困ってるとか、冷たくて困ってると言っても、
自分は服着て標準の温度で快適に過ごしながら、
つまり安全地帯から『こういうふうにすればいいよ』と
忠告してしまう。
とくに男性はこれをやってしまいがちです。
というのも、男性はすぐに回答を出そうとする。
僕と同じで、役に立とうとするあまり、
その人に対していま自分が言える一番論理的で、行動可能で、
こういうふうにすれば状況が改善されるのにといった指針を、
手早く言おうとしすぎるんです。
結論だけじゃダメなんです。
それよりもっと前の段階で、
『相手と同じ温度の風呂に入る』。
これが必要です。」


こういうの,相談における基本といえば基本なんでしょうけど,改めて気を付けないとと思いました。


寄せられる人生相談への,
著者の回答のあり方の変化が書かれているのも興味深かったです。
当初は著者は,人生相談で持ち込まれる悩みに対して,
コンピュータのように論理的に理性的に分析して,
余計な部分を仕分けして,解決可能な問題についての解決策を
提案するというような方向性でした。

しかし著者はある時,
自らの回答に対して違和感を持って考え込みます。

「俺の回答には愛がねえな」

著者は,痛快さや過激な切り口を売りにするのではなく,
あくまで「役に立つ回答」を目指しています。
ところが,回答の際に「上から目線」だけだと,
結局相手に言葉が届かず,役に立たないと感じ始めます。

では,どうするか。
論理的に考えをひねり出す限り,
上から目線になる事自体は絶対的な宿命として避けようがない。
そこで,緩和剤としての「愛」が必要なんだという結論に
たどり着きます。

「もう一歩、もう半歩だけ、相手の事情に踏み込む勇気。
もう少しだけ、傷つかない言葉を選ぶ配慮。」

「そのほんの少しのさじ加減が『頭の良いだけの回答』と
違うスパイスになる。」

2013年5月29日水曜日

ファイルメーカーによる事務処理軽減の実際

自作のファイルメーカーのシステムで,実際にどのように省入力が実現されているのか。
百聞は一見にしかずということで,実例でご紹介します。

システムでは,まず最初に利用者の情報を入力するようになってます。







その後顧客情報,事件の情報等を入力していきます。



















そうすると各種書面を作成する際に,必要な場所に自動的に必要な情報が反映されるようになっています。

例えば,「FAX連絡書」を作成したいという場合。


下のような作成用の画面があります。


上の画面の「送信先選択」のところで,例えば「依頼者」というのを選択して,「レイアウト確認」ボタンを押すと,

























日付,送信先,利用者の住所・名前・連絡先,件名・あいさつ(作成時に編集可能)などが自動的に入力された状態になっています。
 元の画面に戻って,「本文」の中を編集すれば,レイアウトの本文部分が編集された状態になります。
 レイアウト確認画面で確認して,問題なければ,「印刷」ボタンを押して印刷します(うちの事務所の場合,ダイレクトFAX機能がついていますので,通常は印刷することなくそのまま直接FAXを送信します。そのために印影も画像として取り込んでます。)。

FAX送信書に限らず,係属裁判所名・事件番号・事件名・相手方代理人事務所名・代理人氏名・FAX番号など一回入れた情報を使って,期日請書や,後見関係の報告書などいろんな書面の必要な箇所に必要な情報が自動的に入力されるようになっています。


「こんなのコピペでもいいじゃないか」という考えもあるかもしれませんが,コピペ元のファイルがどこにあるのか探す手間が省けたりとか,コピペ元のファイルの古い情報を消し忘れるという事故を避けることができたりとか,全体的に見れば事務作業量の軽減につながるのではないかと思います。


2013年5月25日土曜日

弁護士とデータベースソフト



私は弁護士業務を行うに当たって,ファイルメーカーというデータベースソフトを利用しております。

データベースソフトとは,名前や住所などのいろいろなデータを入力しておいて,
それを表の形式で表示したり,必要なものだけ呼び出したりして,様々な形で活用するというようなソフトです。
弁護士も顧客のデータ,事件のデータなどを扱いますから,
データベースソフトを利用することで業務の効率化が図れるのではないかと思ったわけです。

データベースソフトを導入するならば,
特定の環境でないと使えないとかではなく,
なるべく広い範囲の環境で使えるものを作りたいと思っていました。
そうしたおり,
ファイルメーカーのiOS版(のようなもの)が無料になるというニュースを目にして,
「これはいい!」と思いました。
ファイルメーカーはもともとWindows,Macのどちらでも使える製品である上に,
やろうと思えばiPhoneやiPadでもそのデータベースを利用することが出来るというわけです。
これは大変夢のふくらむ話です。

そんなわけで2012年10月にファイルメーカーを購入し,とりあえずシステムを作ってみて同年11月から実戦投入。
実務で使いながら少しずつ修正を加えて現在に至る,という状態です。

ファイルメーカーというソフトのいいところは,
画面のデザインの微調整等もマウスで直接できますので,
直感的な操作でシステムを作ることができるということがあると思います。
その他特別プログラミングのようなことをしなくても,
それなりにきちんと動作するものが出来上がるという点もとてもありがたいです。
システムの設計,修正が容易なので,とりあえずのプロトタイプをつくってみて,
適宜修正を図るというやり方が十分可能です。












どんなメリットがあるのか

1 同じ情報を繰り返し入力するという事態を回避して省力化を実現
 一度入力した情報が再度必要という場合は,自動的に入力された状態にできます。

2 情報の一元管理
 自分で作成したデータベースには,関係者とのやりとりの記録(いつ,誰と,どんな話をしたのか)や,期日の進行,やるべきこと,預り金の出納帳などなどが全て一元的に含まれているので,多少のことであればわざわざ記録を探して持ってきたり,パソコンの中でファイルを探したりということをする必要がなく,欲しい情報にすぐにアクセスすることが出来ます。

3 定型的な処理の自動化
 物事の中には,「これをやったら必ず次にはこれをやる」と決まっているものがあります。
 パソコンはこのようなものの自動処理は得意です。
 データベースソフトももちろんこのようなことはできますので,手間を減らすことができます。

具体的にどんなことができるのかということについては,
項目を分けてご紹介したいと思います。