2020年2月8日土曜日

プレスリリース

 この度,合同会社LegalWinとして,成年後見事件向け通帳OCR機能を備えた、弁護士用事件管理ツール『LegalWin』のベータ版をリリースした旨のプレスリリースを行いました。

参照リンク:【リーガルテック】成年後見事件向け通帳OCR機能を備えた、弁護士用事件管理ツール『LegalWin』のベータ版をリリース

 
 世界が技術的にどんどん進歩していく中で,弁護士も,周りの進歩についていかなければ置いていかれてしまいます。
 従来のやり方で特に何の問題も感じなくても,「もっといいやり方」が新たに生まれている可能性は常にあります。
 「LegalWin」もまた,そのような「もっといいやり方」の一つとしてご提案させていただいています。

 弁護士を取り巻く環境も変化し,競争も激しくなっていますが,だからといって安かろう悪かろうというような形の過度な価格競争になってしまっては,誰も幸せになれません。
 このような状況での一つの解となり得るのは,業務フローを丁寧に見直し,無駄を省いていくということだと思います。その際,新たな技術の導入というのも,効率化によって無駄を省くという点で効果的だと思われます。
 少なくとも,私自身,1人の弁護士として,常に業務の効率化を図りたいと思っており,自らの必要性に基づいて開発したものですので,一度試してみていただければ幸いです。

2020年1月8日水曜日

通帳のOCRについて

 弁護士が取り扱う業務の類型の中に,成年後見事件というものがあります。
 
 これは,ざっくりといえば,判断能力が低下してしまった方のために,身上監護や契約などの法的事務や財産管理等を行うというものです。

 他の人の財産を管理することになる関係上,財産管理は当然適正に行うことが求められ,またその管理が適正であることが説明できる状態を維持することが期待されます。
 そういうわけで,成年後見人に選任された弁護士は,なるべく現金でのお金の移動のような,お金の動きが見えづらい取引は避け,極力預金通帳にお金の動きが記載されるようにするのが一般です。
 このようにすれば,定期的に行う裁判所への報告の際も,通帳上に記載されているお金の動きについて説明すればいいということになります。

 この「通帳に記載されているお金の動きの説明」ですが,厳密に行うのはそれなりに大変です。
 ネットバンキングが使えれば,集計などの作業も容易に行えるのですが,一般に成年後見人が就いている状態では,銀行はネットバンキングの利用を認めてくれません。
 紙の通帳に記載された取引を集計してExcelに移し替える作業を行ったりするのですが,もう少しこのような事務処理の負担を軽減することはできないものかと常々思っていました。

 そこで,開発したのが,通帳にOCR処理を施して,データとして扱える状態にするというシステムです。
 LegalWinという事件管理を行うシステムの一機能として開発しています(機能の詳細は機能紹介ページを参照)。
 今やOCRといえば,「AI OCR」という言葉も聞かれるくらいで,一昔前よりも格段に精度が上がっています。
 上記のOCR機能も,ディープラーニング技術を用いたもので,特に日付や金額といった数字の認識については,かなりの精度となっています。
 
 通帳のOCRで困難なのは,各銀行の通帳ごとに体裁が微妙に異なるということなのですが,その点については,各銀行ごとに処理を変えることで対応しています。

 このような通帳のOCR技術は,ネットバンキングが広くできるようになるまでの過渡的な技術ではあります。
 もっともLegalWinでは,成年後見事件における取引の分類を学習して,一度設定した取引の分類が半自動的に入力されるようになっているので,OCRの必要の有無に関わらず,使っていくほどに入力作業が楽になっていきます。

2020年1月3日金曜日

弁護士の事件管理について

 一般民事を取り扱う弁護士は,通常多数の事件を同時並行で進めています。
 これを頭の中だけで行うのは大変なので,多くの弁護士は,それぞれのやり方で事件を管理しています(それでも,たまに頭の中だけで管理しているという人がいてビックリします。)。

 私の場合,いくつかのやり方を経ているので,以下ご紹介します。

 12年くらい前に弁護士になりたての頃は,入った事務所の事務員さんが使っていたExcelファイルを使って何となく管理をしていました。
 事件類型ごとにそのようなExcelファイルがあって,一つのファイルの中には,依頼者ごとにタブ(ワークシート)があって,各ワークシートの中で,依頼者や相手方,関係者とのやり取りをメモしていくというやり方でした。

 このやり方でも,何も記録していないよりはもちろん便利なのですが,不便を感じたのは,基本的には一人が当該ファイルを編集していると,他の人がそのファイルを開けないことでした(一応設定すれば共同編集も可能ですが完全に自由に編集できるわけではなかったと思います。)。
 また検索もやりづらく,データが増えてくると動作も重くなってくるという問題もあって,もっといい方法がないかなと思っていました。

 そこで,まず始めたのがファイルメーカーというデータベースソフトを使って,事件管理の仕組みを作るということでした(弁護士とデータベースソフト)。
 Excelのような表計算ソフトとは違って,データベースソフトは,もともと大量のデータを溜め込んで扱うことを目的としているので,動作も安定しており,複数人が同時に利用することも問題なく処理してくれることで重宝していました。

 このやり方の難点の一つは,導入にあたって利用する人が全員ファイルメーカーというソフトを購入しなければならないということでした。
 まだ使ってもいないうちに初期投資をしなければならないという点でハードルが高いですし,使う人が増えるたびにその投資をしなければならないというのもなかなか厳しいものがありました。

 そこで,その後開発したのが,Google Chromeなどのブラウザからアクセスすれば利用できるwebアプリケーションの形での事件管理システムでした。
 この方式であれば,利用する人がわざわざ一人ひとりソフトを購入してインストールするという必要がありません。

 現在は,上記のものを発展させてLegalWinというクラウド型の事件管理システムを開発し,提供しています(LegalWin導入前後の比較はこちら)。
 特別な知識や技術が不要で,お手軽に事務所の事件管理を任せられるシステムとして,少しでも弁護士業務の効率化に役立てばと思っています。