2013年6月29日土曜日

成年後見人関係書類の作成補助

成年後見人等の業務を行っていると,
定期的に家庭裁判所に報告をすることになります。
この際提出する書面には,
後見事務経過一覧表,後見事務報告書など
というものがあります。


このように定期的に作成するもので,
ある程度定型化可能なものというのは,
まさにデータベースが役に立つ場面です。

後見事務経過一覧表というのは,
この間後見人等としてどんなことをやってきたかを
細かく報告する書面です。
これは個々の出来事を記載していくものなので,
報告の時に遡って作成するということになると大変です。
一方で,その都度作成していくにしても,
日常的な覚書と別に経過報告書に別途記載するというのも
手間が多い。

そういうわけで,自作の事件管理データベースでは,
普段の業務メモを記載する中で後見事務経過報告書の記載事項も
作れるようにということを目標としています。

その目標を実現するために,
業務メモの種類の欄に新たに「後見」というものを作りました。






業務メモの種類で,「後見」と選択されているものについては,
後で後見事務経過一覧表を作成する際に
まとめて呼び出すことが出来るようになっています。


事件詳細の後見関係のタブで,
「事務経過一覧表」のところで作成日を選択入力して,
「作成」のボタンを押します。

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そうすると事務経過一覧表作成画面に移動します。
その画面で,報告書の始期と終期を選択入力し
(始期を入力すると,自動的に
終期の欄にはその1年後の日付が入力されるので,
必要であれば変更します。),
「業務メモから抽出」というボタンを押すと,
業務メモで「後見」と選択されているもののうち,
当該後見事務経過一覧表の報告期間に含まれるメモだけが
後見事務経過報告書の画面に表示されます。
(レコード的には同じものを表示。)

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「印刷レイアウト確認」ボタンで
実際の印刷画面がどのようになるかを確認すると,
こんな感じ。

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後見事務報告書作成画面はこんな感じ↓
デフォルトで「変化がない」旨の報告事項が入力されているので,
変化があった項目についてはその旨を入力します。

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同じく印刷画面を確認して,印刷

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報酬付与の申立書等も同様に作成します。

ちなみに,報酬付与申立書作成の画面には
「翌年の申立をやるべきことにセット」というボタンがあって,
一年後の日付でまた報告書を作成することが
「やるべきこと」にセットされるようになっています。

(印刷画面の例は,今回用にサンプルとして作っています。)

2013年6月15日土曜日

弁護士費用分割払いの合意書作成

 弁護士費用は着手金と成功報酬に分かれるのが一般的ですが,
事件の種類によっては着手金の分割払いが可能な場合があります。

 そのようなとき,いつ,いくらの支払いを受けることになるのか
いちいち考えて書面に書き出すのは面倒です。

 ファイルメーカーでの事件管理データベースでは,
このような場合,自動的に計算して,ボタン一つで
書面化することができます。


1.「着手金総額」欄に着手金の総額を入力(例えば「126000」)
2.「着手金分割回数」欄に分割回数を入力(例えば「4」)
3.「着手金初回支払い予定日」欄で初回の支払い予定日を選択
 (例えば「2013/6/28」を選ぶ)
4.「分割払い自動計算」ボタンを押す


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 そうすると,画面の右側に表示されている
「支払い予定日」,「支払予定金額」欄に,自動的に,
4回に分割した金額を,初回支払い予定日から1か月ずつ
間隔を空けて支払う,という内容で入力されます。



 その上で,「分割報酬合意書作成」ボタンを押すと,


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 分割支払の内容が報酬合意書に入力された状態で出てきます。

 後は画面左上にある「印刷する」のボタンを押して印刷するだけです。


 実際の進捗管理としては,支払いがある都度,
最初の画面の自動計算された支払予定の横にある
「支払金額」「支払日」欄に,
実際に支払いのあった金額,支払日を入力していきます。

 そうすると「既払い額合計」欄に,支払いのあった額が加算され,
「未払い額」欄の金額が減っていくことになります。

 この「未払い額」は,「未収金一覧」画面で全事件分が
横断して表示されますので,未収金の管理も容易に行うことができます。

2013年6月9日日曜日

自家製データベースにおける住所の入力について

 依頼者,相手方などの情報を入力する際に,
「郵便番号を入力すると途中までの住所が自動的に入る」
という機能は最初の段階から付けていました。
 これは特段難しくないですし。

 しかし,実際に業務の中で使ってみて思うのは,
「住所は分かるが郵便番号が分からない」
という場面がけっこう多いということです。

 こうしたとき,
「いちいちネットで郵便番号を検索したりするのは面倒だな。
住所から郵便番号を自動的に認識させたい。」
と常々思っていました。

 もっとも,
「入力した住所から郵便番号を自動的に認識する」というのは,
データベースの設計的には,わりと障害があります。
 「2丁目4番地6」としたり,「2−4−6」としたりという,
表記のゆれをどうするかということだけでもなかなかな難問です。
 
 どうしようかいろいろ考えましたが,最終的には,
住所の候補を選択肢の形であらかじめ表示して,
その中から選択させる形にしてみました。
 自家製事件管理データベースは,
「パソコンに詳しくない人でも使える」ということを
目指しているので,少々の効率を犠牲にしても
わかりやすさを優先です。

 具体的には,
「郵便番号が分からない場合は,こちらから!」
とやたらとアピールしてくるボタンがあるので,
それを押します。

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 そうすると別ウィンドウが開くので,都道府県を選択します。

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 都道府県リストから選択。

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 都道府県のところで,東京都を選択すると,
次の市区町村は,東京のものだけが絞りこまれて表示されます。

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 さらに市区町村で世田谷区を選択すると「その他の住所1」は
世田谷区のものだけが絞りこまれて表示されます。
 そして,「その他の住所1」まで入力すると,
郵便番号を特定することが出来ますので,
もとのウィンドウの住所入力欄に郵便番号が入力されます。

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 これで,最初から郵便番号が分かっている場合には,
それを入れて住所を自動入力。
 郵便番号が分かっていない場合には,住所を入力しつつ,
番号を特定という動作を実現することが出来ました。

機能説明(業務メモ)

自家製事件管理データベースは,
一部他の人にも提供して試用していただいているので,
説明書替わりに書いておきます。


業務メモ
 電話連絡や進捗のメモ等を入力する欄です。
 事件の進行についての自分のための備忘録,事務員との情報共有,事件・顧客情報の一元管理などといった意味があります。


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 アナログな「電話連絡帳」での処理時のような,後から
確認したくなった際に探すのが大変という不便を避けられるように,
またExcelでの処理時のような,一人が編集していると
まるごとそのファイル全体を開くことができないという不便を
避けられるように,というのが業務メモの目指すところです。

 当該事件の流れは事件別の業務メモのタブさえ見れば,
時系列で確認することができます。
 依頼者や相手方から電話がかかってきたときにも,
いろんな記録を引っ張り出してくるまでもなく,
基本的にはここさえ見ればいいわけです。



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 また「業務メモ一覧」の画面では全事件を横断して,
最新のものが上に来るように表示されます。
 離席を終えて戻ってきた時などは,まずここを見れば,
自分が不在の間にどのような出来事があったか
一目で把握することが出来ます。

 その他,業務メモは,入力日時,修正日時が
自動的に入力されるようになっています。
 このことにより,相手方に連絡をした,しないなどということ
についても,「たしか電話したと思ったんだけど」というような
あいまいなことはなく,
「何日の何時ころにこちらから電話している」ということが
はっきりと分かります。
 このような記録は,余計な紛争の予防にも役立ちます。

 以上のようなシステムがシステムとして本来の機能を
発揮するためには,
「情報が少なくとも最終的には業務メモに集まってくる」
という状態を実現することが必要です。
 そうすると,
「いかに入力の手間を減らすか」
ということが重要になってきます。
 入力が大変というのでは,自然と入力しなくなってしまいますので。

 入力を減らすための機能は別途ご説明します。


  

2013年6月8日土曜日

読書感想文 オタクの息子に悩んでます

レコーディングダイエットで知られる岡田斗司夫の本。
新聞紙上で行っていた人生相談のやりとりと,
その回答を書き上げるまでに著者がどんなことを考え,
工夫したのかというプロセスの部分が主な内容です。

タイトルでかなり損をしているような気がしますが,
面白かったです。
法律相談と人生相談はもちろん同じものではありませんが,
共通する部分も多分にあるでしょうし,参考になりました。

「共感」について触れている部分をご紹介。

「共感のコツは『相談者と同じ温度の風呂に入る』ことにあります。
恋愛で悩んでいるとか、借金のことで困っているとか、
いろんな悩みがありますよね。
その時に、
ついつい僕たちはその相談者と同じ温度の風呂に入らないんです。
その人が熱くて困ってるとか、冷たくて困ってると言っても、
自分は服着て標準の温度で快適に過ごしながら、
つまり安全地帯から『こういうふうにすればいいよ』と
忠告してしまう。
とくに男性はこれをやってしまいがちです。
というのも、男性はすぐに回答を出そうとする。
僕と同じで、役に立とうとするあまり、
その人に対していま自分が言える一番論理的で、行動可能で、
こういうふうにすれば状況が改善されるのにといった指針を、
手早く言おうとしすぎるんです。
結論だけじゃダメなんです。
それよりもっと前の段階で、
『相手と同じ温度の風呂に入る』。
これが必要です。」


こういうの,相談における基本といえば基本なんでしょうけど,改めて気を付けないとと思いました。


寄せられる人生相談への,
著者の回答のあり方の変化が書かれているのも興味深かったです。
当初は著者は,人生相談で持ち込まれる悩みに対して,
コンピュータのように論理的に理性的に分析して,
余計な部分を仕分けして,解決可能な問題についての解決策を
提案するというような方向性でした。

しかし著者はある時,
自らの回答に対して違和感を持って考え込みます。

「俺の回答には愛がねえな」

著者は,痛快さや過激な切り口を売りにするのではなく,
あくまで「役に立つ回答」を目指しています。
ところが,回答の際に「上から目線」だけだと,
結局相手に言葉が届かず,役に立たないと感じ始めます。

では,どうするか。
論理的に考えをひねり出す限り,
上から目線になる事自体は絶対的な宿命として避けようがない。
そこで,緩和剤としての「愛」が必要なんだという結論に
たどり着きます。

「もう一歩、もう半歩だけ、相手の事情に踏み込む勇気。
もう少しだけ、傷つかない言葉を選ぶ配慮。」

「そのほんの少しのさじ加減が『頭の良いだけの回答』と
違うスパイスになる。」